38. Episode 53: Talking about Japanese Customs
2012/10/21
状況:大阪に向かう航空機の中で、ロッキーは、これから訪れる日本について思いを巡らしている。そして、タケシに話しかけ、日本の生活習慣について尋ねる。
ポイント:
*“ tell +人+ not to不定詞”「人に〜しないように命じる」「人に〜しないように忠告する」の パターン
*禁止を表す助動詞 "can't"(助動詞 "can" の否定形)「〜してはいけない」
*良識判断を示す助動詞 "should" 「〜する方がよい」「当然〜すべき」
語句とルールの説明:
・Is there anything? 「何んかある?」「何かあるかな?」
何かあるのか、何もないのか、全く予測がつかない場合に、このように尋ねる。
・custom 「習慣』「習慣的行為」
複数形は “customs”
・in advance 「前もって」「あらかじめ」
・Is there anything I should know about your customs in advance? 「日本の習慣について、あらかじめ知っておいたほうがよいことが何かある?」
この文の "your" は、タケシに向かって「君たちの」と言っているので「日本人の」という意味になる。
良識判断を示す助動詞 "should" 「〜する方がよい」「当然〜すべき」を使った表現
"I should know about your customs in advance" が、直前の "anything" を修飾していて、文が後の語を修飾する日本語とは逆の語順になる。この修飾方法については「タケシの留学」Episode 51 M & H より のセクション、2. 先行詞(物) + 関係代名詞節(動詞の目的語の役割を果たす、関係代名詞の目的格 "which" もしくは “that” を省略した文)のパターン を参照のこと。
・Let's see ... 「ええっと…」「ちょっと待って…」
考えたり、何かをさがし出そうとしたりして、相手に待ってもらうときに言うセリフ
・go into ~ 「〜に入る」
・take off ~ / take ~ off「〜を脱ぐ」「〜をはずす」
(例文1)She took off her gloves and gave it to her mother. 「彼女は手袋をはずして、お母さんに渡した」
(例文2)Take your T-Shirt off. I'm going to wash it. 「Tシャツを脱いで… 私が洗うから」
・entrance 「入り口」「玄関」
・When you go into a house, you have to take off your shoes at the entrance. 「家の中に入るときは、靴を玄関で脱がなくてはならない」
・Anything else? 「他に何か(ありますか)?」
・separate 「別々の」「ばらばらの」「独立した」
(例文1)They were good friends in college, but after graduation we went our separate ways. 「彼らは大学時代、仲が良かったが、卒業後はそれぞれ別の道を歩んだ」
(例文2)My wife and I have separate bank accounts. 「妻と私はそれぞれ別の銀行口座を持っている」
・The toilet and bath are in separate rooms. 「トイレとお風呂は別々の部屋にある」
・wash oneself 「からだを洗う」「沐浴する」
(例文)She had a hot bath and washed herself. 「彼女は熱いお風呂に入ってから、からだを洗った」
・And you can’t wash yourself in the bathtub. 「それに浴槽の中で、からだを洗ってはいけない」
"you" は、一般的な「人」を指し、日本語に訳さない。
この文中の "can't" は「…してはいけない」という禁止を表している。このように、話し言葉として使う"can't"(助動詞 "can" の否定の形)は、しばしば<s禁止を表す。
・Right outside of the tub 「浴槽のすぐ外側」「浴槽を出たところ」
・show 「教える」「説明する」「示す」
実際にして見せながら、教えたり説明したりするようなときに使う動詞
・tell 「言う」「命じる」「忠告する」「警告する」
・Rocky, I told you not to wear shoes in the house. 「ロッキー、家の中で靴を履かないようにって注意しただろ」
“tell +人+ not to不定詞”「人に〜しないように命じる」「人に〜しないように忠告する」の パターン
“tell +人+ not to不定詞” のパターンを使った例文:
(例文1)Mom told me not to trust Bob. 「ボブを信用するなって、ママが言うんだ」「ボブを信用しないようにと、ママに言われた」
「人に〜するように忠告する」というときは、上記のパターンから "not" を除いて “tell +人+ to不定詞” のパターンにする。
“tell +人+ to不定詞” のパターンを使った例文:
(例文2)I told you to be in bed by 10 o'clock. 「10時までにはベッドに入るように言ったでしょ」
ここでは、直前のタケシのセリフ "Rocky, I told you not to wear shoes in the house." を受けて、こう言っているので、「そう言ったけ?」という意味。
これは肯定文の形をした疑問文の一種なので、上昇調のイントネーションにする。
・So what? 「だから何だって言うんだよ」
少し腹を立てたときについ使ってしまう、ぶっきらぼうな表現。家族や親しい友だちに対してなら "So what?" と言ってしまっても許されることもあるが、場合によっては喧嘩を売ることにもなりうるので気をつけよう!
・wear 「身につけている」
状態を表す動詞。
"wear" を使った例文:
(例文1)He often wears strange clothes. 「彼はよく変な服を着ている」
(例文2)She usually wears a pantsuit to work, but today she's wearing a dress. She's attending her friend's wedding. 「彼女は普段、仕事着のパンツスーツ姿だが、今日はドレスを着ている。友だちの結婚式に出席するのだ」(状態を表す動詞 "wear" を 現在進行形にすると、日常的状態とは異なる、一時的状態を示している感じを伝えることができる)
なお、着ていない状態からの変化を表現するのには "put on" や "get dressed" などの表現が使われる。
(例文3)I'm putting my clothes on. 「今、服を着るところだよ」
(例文4)I've got to go home and get dressed. 「家に戻って、着替えてこなくちゃ」
・I’m not wearing shoes now. 「僕は今、靴を履いてはいない」
・Oh, the ones I took out of my backpack with some of my clothes? 「ああ、服といっしょにバッグパックから取り出したやつか?」
この文の "ones" は "sneakers" を 指している。また、後の "I took out of my backpack with some of my clothes" の部分が、前の名詞部分 "the ones" を修飾していて、「服といっしょにバッグパックから取り出した」の部分が前から後の名詞「やつ」を修飾する日本語の語順とは逆になる。こうした母国語とは逆の語順には慣れが必要なので、何度も言って練習しよう!
この修飾方法に関しても「タケシの留学」Episode 51 M & Hより のセクション 2. 先行詞(物) + 関係代名詞節(動詞の目的語の役割を果たす、関係代名詞の目的格 "which" もしくは “that” を省略した文)のパターン」を参照のこと。
・You shouldn’t bring them into any room. 「どの部屋の中に持ち込んでもいけない」
良識判断を示す助動詞 "should" 「〜する方がよい」「当然〜すべき」の 否定形 "should't" を使った表現
・Sorry. 「ごめん」「ごめんなさい」
話し手が自分の非を認めて謝るときに使う表現
「マイクの友だちと家族」エピソード23 では、マイクがパパに謝るときに “Sorry.” 「ごめん」と、この言葉を使ってる。また、語句とルールの説明 や M & H より の セクションには "Excuse me." 「すみません」と謝るときの状況についても言及してあるので、そちらも参照のこと。
・realize 「〜を悟る」「〜を、はっきり理解する」
・I didn’t realize that. 「それをきちんと理解してなかったんだ」「そのことを、よく分かっていなかったんだ」
M & H より:
前回のエピソードをアップロードしてから、今回のこのエピソードまでに、少し時間が空いてしまいました。遅くなり、申し訳ありません。
アメリカ人が靴を履いたまま家に入るということは、よく知られていますが、日本人との習慣の違いは、それだけに留まりません。くつろぐときに家の中で靴を脱いだアメリカ人は、裸足のまま庭に出てバーベキューを楽しんだりしますし、スニーカーと衣類をいっしょに洗濯機に放り込むアメリカ人も、よく見かけます。日本人が家の内と外、上に置くべきものと下に置くべきものを区別して使うのに対し、アメリカ人は、そうした区別が非常に曖昧だと言う方が、両者の習慣の違いを的確に説明できるのかもしれません。
このエピソードでも、アメリカ人のロッキーは、家に入るときに靴を脱ぐように言われ、理解しているつもりだったのでしょうが、スニーカーを家の中に持ち込んではいけないというところまで、その理解が及ぶことはありませんでした。シューズ袋のようなものを使う習慣もなく、スニーカーも服もいっしょに、バックパックの中に入れてあるので、取り出すときも、いっしょに取り出して畳の上、しかも敷いてある布団のすぐそばに置きっぱなしにしたのです。
国によって習慣は様々で、寝食を共にして初めて気づく習慣の違いが多々あるものです。習慣が異なる者同士が上手くやっていくには、違いがあるということを前提にして、違いを見いだしては理解していく努力を積み重ねていかなければなりません。そして、お互いの違いを理解し合っていくためには、共通の言葉を使って説明を求めたり、あるいは自ら説明していくことが必要なのです。
日本人が上下を区別することは、日本語にも表現されています。たとえば、何かを身につける際、靴やスカートなどの比較的、下のものは「履く」と言いますが、帽子やカツラなどの上のものは「かぶる」と言い、異なる動詞を使います。それに対して、英語の動詞は靴や帽子からカツラ、コンタクトに至るまで "put on" が「身につける」動作を、そして "wear" が「身につけている」状態を表し、言葉にも上下の区別がありません。このように言葉が習慣に関わる概念を正確に表現していることに驚かされます。